研究概要 |
本研究の初年度にあたり、研究対象となる菌株の選定および収集を行った。研究対象として選ばれたのは1997-1998年の2年間および2001年1〜7月に札幌医科大学附属病院で分離された菌株約350株のほか、2002年10月より1年間、札幌医科大学附属病院および藤田保健衛生大学附属病院(豊明市)において分離されている菌株である。腸球菌のうちEnterococcus faeciumの殆どがペニシリン耐性であり、Enterococcud faecalisでは2001年までの保存菌株で10株がペニシリン耐性であったが、2002年以降の分離株においては耐性菌は見つかっていない。またEnterococcus avium, Enterococcus raffinosus、Enterococus duransなどの低頻度に見られる腸球菌はすべてペニシリン耐性であった。今回、2001年までの保存菌株について、腸球菌およびブドウ球菌に存在することの知られる各種テトラサイクリン耐性遺伝子の分布を調査した。その結果、TetL, TetMが高頻度に検出されたほか、TetT, TetS, TetOなども検出された。特にTetT, TetS, TetOは腸球菌における分布は殆どわかっておらず、今回これらが低頻度ながら腸球菌に保有されていることが判明した。現在それらの耐性遺伝子保有株を用いて、各耐性遺伝子によるテトラサイクリン耐性レベルの違いを解析している。今後2002年以降の分離株についてもペニシリン耐性とともにテトラサイクリン耐性遺伝子、アミノグリコシド耐性遺伝子の分布状況を調査すべく、準備を進めている。
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