研究課題/領域番号 |
14570312
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研究機関 | 産業医科大学 |
研究代表者 |
小山 倫浩 産業医科大学, 医学部, 助教授 (00309965)
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研究分担者 |
松本 明子 佐賀医科大学, 医学部, 助手 (10330979)
一瀬 豊日 産業医科大学, 医学部, 助手 (80341494)
川本 俊弘 産業医科大学, 医学部, 教授 (60177748)
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キーワード | CytochromeP450 2A6 / CytochromeP450 2E1 / p53 / 肺癌 / 遺伝子多型 / 喫煙 / 肺癌予防 |
研究概要 |
タバコ煙暴露による酵素の誘導や遺伝子の多型により気管支上皮に分布するチトクロームP450 (CYP) 2E1・CYP2A6の活性が変動すると考えられる。気管支上皮内のCYP2E1やCYP2A6の代謝活性化作用により活性化した発癌物質のDNA障害により癌遺伝子変異が発生して発癌に至ると考えられる。このため、喫煙や遺伝子多型による気管支上皮内チトクローム酵素の発現の変動を明らかにし、各個人に則した肺癌予防を展開するため以下の研究を行った。 1.75例の肺癌患者を対象にして肺癌組織切片を作成し、免疫組織化学染色を用いて気管支上皮内のCYP2E1・CYP2A6の発現を検出した。肺癌75例中41例(55%)の気管支上皮内にCYP2A6が高度に発現し,17例(23%)の気管支上皮内にCYP2E1が高度に発現した。 2.75例の肺癌患者を対象にして肺癌組織切片を作成し、免疫組織化学染色を用いて肺癌細胞核に発現するp53タンパクを検出した。肺癌75例中39例(52%)の肺癌細胞にp53タンパクが発現していた。 3.年齢や喫煙、肺癌の組織型などの臨床病理学的因子により気管支上皮内CYP2E1・CYP2A6酵素の発現を検討した。扁平上皮癌ではCYP2A6高度発現頻度は60%であり腺癌の51%に比べ高値傾向を示した。喫煙量とCYP2A6およびCYP2E1発現は有意に正の相関関係を認めた。また、CYP2A6とCYP2E1発現も有意に正の相関関係を認めた。 4.気管支上皮内CYP2E1・CYP2A6酵素の高度発現症例では肺癌組織内のp53タンパク発現頻度は高値傾向を示した。 5.既知のCYP2E1遺伝子多型と気管支上皮内CYP2E1発現には明らかな相関関係を認めなかった。
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