研究課題
Ahレセプターヘテロマウス(AhR+/-)同士を交配し、妊娠12.5日にTCDD 10ug/kgを一回経口投与した。対照には、コーン油を投与した。生後21日に解剖し、血清中トータルT4(TT4)、肝におけるCYP1A1、UGT1A6 mRNAの発現、CYP1A1の免疫組織化学的解析を行った。AhRノックアウトマウス(AhR-/-)では、TCDDによる血清中TT4の低下は認められなかったが、(AhR+/-)マウスでは、対照に比べ有意なTT4の低下が認められた。また、(AhR+/-)マウスでは、肝におけるCYP1A1、UGT1A6の誘導が認められたが、(AhR-/-)マウスでは認められなかつた。以上のことから、TCDDによるTT4の低下にはAhRを介したUGT1A6の誘導による胆汁へのT4の排泄促進がその主要なメカニズムと考えられた。13週令の雌TTR(トランスサイレチン)野生型マウス(TTR+/+)とTTR欠損マウス(TTR-/-)にTCDD 20ug/kgまたはPCB77 50mg/kgを一回経口投与した。7日後に解剖し、AhRノックアウトマウスと同様の検討を行った。(TTR-/-)マウスでは、血清TT4レベルは野生型の約50%に低下していた。血清TT4レベルは、野生型では、TCDD、PCB77投与により対照に比べ有意に低下した。PCB77による低下はTCDDよりも大きかった。これと対照的に(TTR-/-)マウスでは、血清TT4はTCDD投与によって対照の10%程度まで減少したのに対し、PCB77投与では対照の約70%にとどまった。一方、CYP1A1、UGT1A6 mRNAの誘導は、TCDDでは見られたがPCB77では見られなかった。以上のことから、PCB77投与によるTT4の低下は、AhRを介したUGT1A6の誘導を伴ったものでなく、TTRの関与が示唆された。
すべて その他
すべて 文献書誌 (1件)