研究課題
一般集団で、高感度法にて測定したC-reactive protein(CRP)値と生活習慣、動脈硬化の程度との関連を、系統的文献レビューを行い、動脈硬化性疾患発症の予知因子としての高感度CRP測定の意義を明らかにするものである。その結果,以下の点が明らかになった。高感度CRP値が動脈硬化性疾患発症もしくは死亡を予知するかについては、健康な男女の中高年で、他の因子と独立して動脈硬化性疾患発症と死亡のリスクの予知因子である(Level IVa)。ただし、80歳以上の高齢者では、十分な根拠がない。高感度CRP値と食習慣との関連では少なくとも1つのLevel IIのエビデンスがあったのは、CRP値が低い集団で、違いがみられた炭水化物、単不飽和中性脂肪、繊維、omega-6/omega-3脂肪酸比、エネルギー、飽和脂亡酸、コレステロール摂取量である。高感度CRP値と運動習慣と関連については、身体活動はCRP値を低下させる(Level IVb)。高感度CRP値と喫煙の関連については、喫煙者では、他の因子と独立してCRP値を上昇させる(Level IVa)。高感度CRP値と飲酒と関連については、中等量の飲酒は、CRP値を低下させる(Level II)。高感度CRP値と頚動脈硬化の関連については、男性では、CRP値上昇がIMT増加と関連する(Level IVc)。女性では、過去に喫煙歴があった者ではCRP値上昇が総頸動脈のIMT肥厚と関連する(Level IVa)。今回のレビューより、健康な男女の中高年での高感度CRP値スクリーニングが、動脈硬化性疾患発症と死亡のリスクの予知に有用であり、CRP値が栄養素、身体活動、喫煙、飲酒、頚動脈硬化(Intima-medica thickness-IMTの肥厚)と関連しており、また、中等量の飲酒がCRP値を減少させることについてはレヴェルIIのエビデンスがあることが明らかになった。
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