C-reactive protein(CRP)と内臓肥満の指標、インスリン抵抗性、頸動脈硬化の関連について、116人の健康な日本人(BMI:15.7〜30.6kg/m2;15人は25〜29.9kg/m2、2人は30kg/m2以上)を対象に、肥満と内臓脂肪、CRP、interleukin-6(IL-6)、tissue necrosis factor-α(TNF-α)、頚動脈超音波のintima-media thickness(IMT)を測定し、断面的に関連を検討した。単回帰ではCRPは肥満の指標に有意に関連し、年齢、性、喫煙、で調整後、CRPはウエスト周囲径、ウエスト・ヒップ比、内臓脂肪面積といった内蔵肥満の指標により関連していた。IL-6とTNF-αはCRPに関連しなかった。血圧、代謝の指標、CCA-IMTもCRPと関連していた。しかし、年齢、性、喫煙、BMIで調整後は血圧とHDL-コレステロールのみが有意であった。健康な日本人では、CRPは内臓肥満に関連し、インスリン抵抗性の要素の一部に関連していたが、IL-6とTNF-αには関連しなかった。 一般集団で、高感度法にて測定したCRP値と生活習慣、動脈硬化の程度との関連を、系統的文献レビューを行った結果、以下の点が明らかになった。高感度CRP値が動脈硬化性疾患発症もしくは死亡を予知するかについては、健康な男女の中高年で、他の因子と独立して動脈硬化性疾患発症と死亡のリスクの予知因子である。ただし、80歳以上の高齢者では、十分な根拠がなかった。CRP値は摂取する栄養素と関連し、身体活動はCRP値を低下させ、喫煙はCRP値を上昇させる。また、頚動脈硬化(Intima-medica thickness-IMTの肥厚)とCRP値と関連しており、また、中等量の飲酒がCRP値を減少させることについてはレヴェルIIのエビデンスがあることが明らかになった。
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