わが国で大腸がん検診法として行われている免疫便潜血検査(IFOBT)と欧米の標準法である化学法便潜血検査(化学法FOBT)を人間ドック受診者と一部外来患者に対して行い、全例に全大腸内視鏡検査を行ってこれを至適基準として感度を比較した。FOBTを行いえたのは大腸がんに関連する出血、貧血、通過障害を示唆する症状のない3381人で、うち人間ドックは2858人、外来患者は523例であった。ドック受診者のうち初回受診者は281人(9.8%)と低率だった。 便潜血検査陽性率は免疫法151例(45%)、化学法338例(10.0%)で、うち人間ドックではそれぞれ105例(3.7%)と256例(9.0%)であった。大腸がんはドック受診者から合計10例(早期癌8例、進行癌2例)、外来患者から6例(早期癌3例、進行癌3例)が発見された。これらのうち陽性を示したのが免疫法10例(早期癌6例、進行癌4例)、化学法5例(早期癌2例、進行癌3例)で、感度はそれぞれ63%と31%(p=0.08)で、早期癌に限定すると55%と18%であった(p=0.08)。免疫法の感度は化学法より高かったが統計学的有意差はなかった
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