1.市区町村別死亡率の地域格差とその社会経済的要因との関連性に関する研究 市区町村を単位として全死因による死亡率を算出し、地域の平均収入、学歴失業率、居住面積と死亡率との関連を分析し、低い社会経済的水準と高い死亡率との関連を明らかにした。その関連性は、女性より男性、全人口より75歳未満人口で強いこと、1975年から1995年までを観察すると死亡率と社会経済的要因との関連性は弱くなっていることを示した。 2.健康寿命の算出とその関連要因の分析 都道府県レベルでは、介護保険認定者を障害者とみなした2000年都道府県生命表を用いて、Disability-free Life Expectancy (DFLE)およびDisability-adjusted Life Expectancy (DALE)を算出した。これらは、一人当たり収入、失業率、高齢者一人暮らし世帯割合、離婚率等と有意な関連が認められた。市区町村レベルでは、同じく介護保険認定者を障害者とみなし、2000年市区町村生命表を用いて近似的なDFLEを算出した。DFLEは一人当たり収入、失業率、高齢者一人暮らし世帯割合、離婚率と有意な関連が認められた。 3.個人の健康度とその関連要因 平成13年国民生活基礎調査個票を用いて、健康に関連した指標と社会経済的要因との関連を分析した。その結果、各種健康指標は収入、仕事の有無、居住地、婚姻状態と有意な関連が見られることが明らかになった。 4.健康の地域格差の健康政策への応用に関する研究 1975年から1998年までの市区町村別死亡数から地域の死亡率の格差に伴う過剰死亡率とその経年的変化を観察した。さらに、国レベルの死亡率に関して、ベンチマーク法と外挿法により算出する健康政策の目標値の方法論を開発し、2010年における目標値の算出を試みた。
|