地域住民の高コレステロール血症者を対象として、普段飲用する緑茶について介入を行い、緑茶飲用状況の変化を検討した。愛知県渥美郡赤羽根町の平成14年度生活習慣病予防特別健診を受診し、高コレステロール血症を有するかその予備軍で、同意が得られた者を対象者として、緑茶の効用に関する説明(緑茶のもつ高コレステロール血症改善作用・がん予防・むし歯予防・お茶の成分・高脂血症などについてカラーパンフレットを渡して説明)を行うとともに、普段飲用する緑茶を一日5杯程度まで多飲するように説明し、平成15年春に緑茶飲用状況に関する質問票調査を行った。 35名の該当者についてみると、緑茶の濃さは、薄い・やや薄い者は14.3%から8.6%に減少、普通は不変、やや濃い・濃いは20.0%から31.5%に増加した。一年前と比較して緑茶摂取量が増えたと答えた者は28.6%であった。禁煙教育による禁煙の達成率に関する諸報告と比較しても本研究における介入効果は大きいことがわかった。また、このうちの9名について血清脂質の変化をみると、平成14年度生活習慣病予防特別健診時の総コレステロールの平均値は224mg/dlであり、平成15年度の平均値は234mg/dlとなり、HDL-コレステロールは、71.7mg/dlより73.7mg/dlへと増加した。血清脂質に対する緑茶飲用の真の効果を評価するためには、次年度に予定している緑茶と総コレステロールに関する無作為化比較対照試験の成績を検討する必要がある。 なお、本研究は、浜松医科大学倫理審査委員会の承認を得て実施した。
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