(背景)緑茶飲用は高コレステロール血症を改善する可能性を示唆する若干の疫学的研究報告があるが、その改善効果を示す明確なエビデンスはない。また、その改善効果のメカニズムについての実験的研究が若干行われているがいまだ明確にはなっていない。 (目的)横断調査研究を用いて緑茶飲用と高コレステロール血症の間の関連性の有無を検討すること、また、普段は緑茶を飲むことの少ない地域において、無理なく緑茶を多く飲むようにできるかどうかを明らかにするために、高コレステロール血症をもつ地域住民を対象として、普段飲用する緑茶について介入を行い、緑茶飲用状況の変化を検討すること、および、緑茶ポリフェノールの総コレステロール低下作用を無作為化比較対照試験(介入研究)により評価することを目的とした。 (結果と考察)1.横断研究においては、総コレステロール正常群では、高コレステロール血症とその予備軍に比較し、緑茶の摂取頻度が高い傾向がみられた。 2.普段飲用する緑茶の多飲勧奨介入研究においては、緑茶の濃さは濃くなった者が約10%増加した。一年前と比較して緑茶摂取量が増えたと答えた者は28.6%であった。禁煙教育による禁煙の達成率に関する諸報告と比較しても、本研究における介入効果は大きいことがわかった。 3.無作為化比較対照試験においては、緑茶錠摂取群において総コレステロールの平均値の低下がみられたが、プラセボ錠摂取群においても総コレステロールの平均値は低下し、両群の間に有意差はみられなかった。 4.これまでに報告されている疫学的研究文献をみると、横断研究においても、また、無作為化比較試験においても、緑茶の高コレステロール血症の改善効果を認めた成績と見られなかった成績とがあり、更に、研究を重ねる必要があると考えられた。
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