これからの地域医療は地域住民がどこにいても、最新の医療・福祉サービスが受けられる安心社会を実現させ、地域や医療機関のバリアフリーを実現する地域医療情報ネットワークシステムが必要であるが、医療情報を扱うことから、信頼性のある安心して利用できるシステムでなければならない。そこで、このシステムにおけるセキュリティを確保した医療機関での円滑な情報交換と運用管理、および医療情報共有の方法について実証研究を行った。 標準プロトコルを使用した医療専用プライベート認証局を三重大学医学部附属病院に構築し、通信時におけるクライアント認証およびサーバのデジタル証明を行うことが出来るようにした。また、通信上でのセキュリティ対策のため、VPNネットワークを構築し、クライアントソフトまたはVPNルータにより他の医療機関からも暗号化通信でアクセスすることができた。また、情報の共有化を実施するにあたっては、診療情報参照セキュリティレベルを設定し、情報共有できる範囲限定の協議を行い、地域医療機関の利用者(医師)にクライアント本人認証を発行した。外部(インターネット)からのアクセスには医療機関利用者(医師等)のデジタル証明書を使い、認証サーバで個人認証を行うことにより、サーバリソースへの外部からの安全なアクセスの提供と、暗号化を行った。これらVPN通信と医療専用プライベート認証局による利用者認証を組み合わせて使用することにより、ブロードバンドネットワーク時代にふさわしい信頼性のある地域医療ネットワークを構築することができると考える。このセキュリティを確保した地域医療ネットワークによる医療情報の共有化は、医療のみならず、保険・福祉の各分野とも情報を共有する事が可能となり、ひいては地域におけるトータルケアシステムを構築していく第一歩となり得るものであると考える。
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