研究概要 |
地域の医療を取り巻く環境は、高齢化社会の進展や医療技術の進歩等により、大きく変化してきている。このような背景の元では、地域においてプライマリ・ケアを担う医師が、医療機関の間の相互連携に基づいた適切な医療の提供を推進して、病診・診診連携の充実をしていく必要があり、医療情報の共有化と情報交換による地域医療情報ネットワークシステムの構築が必要となる。これら医療情報共有のための地域医療情報ネットワークシステムは、医療情報を扱うことから、信頼性のある安心して利用できるものでなければならない。そこで、セキュリティの確保されたネットワークの構築を行うとともに、患者基本情報・診療情報・検査情報などの情報を登録する医療情報データベースを構築し、地域の医療機関からネットワークを介して登録参照できるシステムの構築を行った。また、実際の医療データの交換におけるセキュリティの確保について詳細に検証と研究を行い、信頼性があり,安心して利用できる医療情報ネットワークの研究と構築を行なった。このシステムは今後より緊密な連携が要請されるようになる医療機関、行政および保健福祉関連の組織を結ぶ地域医療ネットワークへの発展性を目指して、内部外部を含めたセキュリティ対策の強化やセキュリティレベルを考慮した医療情報共有のシステム研究と開発を行う必要がある。また、セキュリティが確保され、個人情報保護が守られた医療情報の共有は地域医療機関において効率的で有用であると考えられるが、一歩進めて、行政が実施している住民検診データ及び、救急システム等とセキュリティを確保した上で、連携できるように進めていき、医療機関だけではなく住民、行政も含めて今後の情報利用や個人情報保護の問題等の解決に向けて議論をすすめ、セキュリティを確保した総合的な地域医療情報ネットワークシステムの実用化のための研究と開発を行っていくことを考えている。
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