1)生活習慣病を伴う肥満者に対する行動科学を用いた減量プログラム:ランダム化比較試験 肥満教室に参加を希望した肥満者82名を年齢・性・BMIをマッチさせて、従来指導群(41名)と強力介入群(41名)の2群に無作為に割付した。従来指導群は医師による「肥満と生活習慣病」の講義と保健師による運動実技からなる。強力介入群は認知再構成、刺激統制法、行動目標設定、セルフモニタリングなど行動科学的手法を用いた減量プログラムより構成される。介入6日月後、従来介入群では有意な体重変化を認めなかったが、強力介入群では、体重4.2kg減、体脂肪率1.0%減、収縮期血圧4mmHg減、拡張期血圧減、LDL-コレステロール8mg/dl減、HDL-コレステロール7mg/dl増、中性脂肪37mg/dl減、HbA1c0.2%減など有意な改善がみられた。β3-アドレナリン受容体(Arg64Trp)、UCP1遺伝子(-3826A/G)、PPARγ_2遺伝子(Pro12Ala)、ACE遺伝子(I/D)、アンジオテンシン2型受容体の遺伝子解析を行った。β_3-アドレナリン受容体とUCP1遺伝子の異常を伴う肥満者は減量効果が少なく、相加的効果が認められた。また、アンジオテンシン2型受容体を持つ者は食塩摂取量が多く、血圧が高い傾向が認められた。今後は、長期的な追跡とリバウンドに及ぼす影響についての検討を行う予定である。 2)親子での関連解析とSib-Pair解析 24組の親子に対して、身体組成、生活習慣(朝食、外食、野菜と果物摂取、飲酒、喫煙、歩行時間、運動等)、血液検査と遺伝多型との関連解析を行った。身長は父親と有意な相関がみられた。BMIに及ぼす影響として、子どもでは朝食の欠食と1日の歩行時間との間に有意な正の相関がみられた。父親では外食習慣と有意な正の相関がみられたのに対し、母親では飲酒習慣と飲酒量の間に有意な負の相関関係が認められた。現在、Sib-Pair解析中である。
|