研究概要 |
高齢化社会を迎え,要介護者の増加が問題となっている。高齢者世帯などで介護を行う上での負担が大きく,今後在宅介護を行うことが非常に困難状況の中で,近年進歩の著しいIT技術の介護への応用を検討した。そのモデルケースとして鳥取県日南町で取り組まれている日南町TOWNS-NETを取上げた。日南町において試験運用されている遠隔見守り・介護支援システムは,1)テレビ電話機能:病院と在宅の患者をテレビ電話でつないだもの,2)携帯電話への画像転送機能:介護者の外出時に要介護者の様子を定期的に介護者等の携帯に画像として送り要介護者に異常がないかどうか知らせる機能,3)日南町TOWNS-NETによる地域情報の受信町からのお知らせや地域情報を受信するという3つの機能を有する。現在モデルケースとして日南町の3家庭に装置が設置されている。我々は夏季にその3家庭を訪問し使用状況について聞き取り調査を行った。また,緊急通報システムを導入している60世帯に緊急通報システムの現状について郵送法による調査を行った。 結果 試験導入している3家庭のうち,実際に使用されている家庭は1家庭のみで,その使用形態も見守りシステムとしてではなく,インターネット端末としての使用に限られている。その他の2家庭では全く使用されずに置かれているといういう状況であった。高齢者にとってコンピュータとしてしか考えられない現システムの操作方法つまりインターフェイスの高齢者向けの改良が必要であると考えられた。そのためリモコン式,および音声認識システムの導入が今後の課題である。緊急通報システムのアンケート結果より,現時点でのペンダントスイッチの利用状況は予想以上に悪いことがわかった。その理由としては押し間違い・装置の形態や所持の問題・通報の受け手の問題・故障といった問題が挙げられる。その解決策として通報時に通報者の画像を送りその状況を確認することや,通報の際一度身内を介し状況を把握することなどが考えられた。
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