研究課題/領域番号 |
14570334
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研究機関 | 島根医科大学 |
研究代表者 |
塩飽 邦憲 島根医科大学, 医学部, 助教授 (10108384)
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研究分担者 |
下野 久美子 島根医科大学, 医学部, 助手 (30346382)
北島 桂子 島根医科大学, 医学部, 助手 (00332784)
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キーワード | β3アドレナリン受容体 / 内臓脂肪型肥満 / 代謝症候群 / 肥満改善プログラム / 遺伝子多型 / 高脂血症 / インスリン抵抗性 / 高血圧 |
研究概要 |
島根県において、2002年の定期健康診断受診者1,084人(20-59歳)を対象に動脈硬化関連危険因子を比較した。危険因子数は加齢とともに増加し、男性が女性よりも多かった。農村群の50歳代男性では地方都市群に比較して有意に危険因子数が増加していた。農村群40-59歳の男性では、肥満、高脂血症、高血圧、糖尿病の危険因子のうち2個以上有する割合が地方都市群より有意に高かった。農村群壮年男性の危険因子数の多さは、肥満、高脂血症、高血圧と関連していた。農村群男性のBMIでは地方都市群男性よりも1.0の上昇を認めた。しかし、断面調査では、遺伝子多型と肥満との関連は見いだせなかった。 このため、参加者自らが健康リスクを認知し、行動変容の課題と行動目標を明確にし、健康学習によって生活習慣変容のための技術を獲得し、集団特性を活用した社会支援能力を強化する肥満改善プログラムを開発した。プログラム改良によって、体重変化は、2000年0.1kg増、2001年1.0kg減、2002年1.8kg減と年々改善した。また、減量とともに、ウエスト囲、ヒップ囲、ウエストヒップ比、皮脂厚が減少した。血液生化学的検査値では、2000年にはHDLコレステロールを除いて改善を認めなかったが、2001年と2002年には血圧やLDLコレステロールの有意な減少を認めた。健康学習と自己決定に基づく肥満改善プログラムは、有用性と適応性が高いことが明らかになった。 この肥満改善プログラムにおいて、β3アドレナリン受容体遺伝子多型と体重減少効果の関係を検討した。この遺伝子変異群は野生群に比較して、身体運動量の増加や熱量摂取量の減少への反応性が低いことが明らかになった。断面調査では明確でないβ3アドレナリン受容体遺伝子多型の体重への影響を明らかにし、遺伝子多型などの体質を踏まえた予防や治療法の開発が重要であることを報告した。
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