研究課題/領域番号 |
14570335
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
加藤 匡宏 愛媛大学, 教育学部, 助教授 (60325363)
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研究分担者 |
岡田 克俊 愛媛大学, 医学部, 助手 (10314949)
藤本 弘一郎 愛媛大学, 医学部, 助手 (30243778)
小西 正光 愛媛大学, 医学部, 教授 (40274328)
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キーワード | 神経難病 / 在宅医療 / 介護保険 / 患者のQOL / 質的研究 / ライフヒストリー / 介護ストレス / 介護・福祉サービスの満足度 |
研究概要 |
本研究は、特定疾患治療研究対象受給者証をもつ神経難病患者が地域での在宅医療サービスをうける上で、患者の満足度、経済的負担、家族の介護の状況を詳細に調査した。神経難病の在宅医療を促進する上で、優先される医療、介護サービスを明確化し、介護保険制度の見直し時に、神経難病患者の在宅医療の新しい方策の指針を提供することを目的とした研究である。現在、Y医師会立病院、Y医師会内の他の医療機関、Y医師会立訪問看護ステーションならびに他の訪問看護ステーション、介護福祉施設(老人保健施設、特別養護老人ホーム、通所リハビリテーション施設)を利用して神経難病の在宅医療を受けている患者の病状、医療状況、介護状況、介護者の身体的・精神的ストレス、経済的負担状況、医療および介護に要する費用、福祉制度の理解と利用状況、病診連携体制についての情報を収集し、量的検討を加えた。さらに研究協力が得られた複数人の神経難病患者に対してインタビューを実施し、逐語記録からライフヒストリーを構成し、患者の病体験に関する質的研究を実施し、現在、論文化作業が進行している。「語り」によるnarrative based medicine (NBM)は、人間は自らを語る言葉を通して物事を把握し、その積み重ねにより作り上げられた自分だけの物語を通して社会とつながっているという社会構成主義を基盤としており、文化人類学、哲学、心理学的見地から解析する質的研究手法である。量的研究と質的研究は神経難病患者の生活の質を知る上での車の両輪である。NBMは、生物医学的手法だけでは解決できない状況下においても、語り体験を通じて患者自身の苦難の体験を紡ぎ出すことができれば慢性進行性疾患の精神的安定につながる可能性が示唆された。今後は、本研究を発展させ、神経難病患者の入院期間を短縮し、在宅医療における家族の介護負担を軽減するために医療・看護・福祉サービス等の在宅療養条件の整備の医療経済モデルを作成し、Y保健所やY地区保健センターの取り組みとしての神経難病相談活動を分析評価するとともにセカンドオピニオンの役割、患者および家族の満足度について量的および質的な検討を重ねていく予定である。
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