研究課題/領域番号 |
14570337
|
研究機関 | 高知大学(医学部) |
研究代表者 |
安田 誠史 高知大学, 医学部, 助教授 (30240899)
|
研究分担者 |
太田 充彦 高知大学, 医学部, 助手 (80346709)
杉原 由紀 高知大学, 医学部, 助手 (90304675)
大原 啓志 高知大学, 医学部, 教授 (00033209)
|
キーワード | 高齢者 / 精神的健康状態 / 日常生活動作能力 |
研究概要 |
本縦断研究の目的の一つは、地域在宅高齢者の精神症状と、日常生活動作能力(Activities of Daily Living、以下ADL)障害発生との関連を検討することである。ADL障害として、歩行能力の低下を客観的計測値からも把握することを試みたが、現時点では、十分な計測参加者数が得られていない。そこで、追跡時点でのADLの状況を尋ねた質問紙調査の結果を用い解析を行った。追跡開始時点のADLが自立し、追跡調査に回答が得られた785名を解析対象とした。精神症状因子として、General Health Questionnaire30項目版への回答に因子分析を行って得られた、うつ、無感動、不安の3つの因子をとりあげた。ADLの障害は、食事、更衣、整容、排泄、入浴、歩行の6つに、一つでも手助けが必要だと回答した場合を障害ありとした。多重ロジスティック回帰モデルをあてはめ、性、年齢を調整して、追跡開始時点における、各精神症状因子の因子由来得点(高得点ほどその因子の訴えが強い)が上位17%の群と残り83%の群との間で、追跡時点のADL障害ありの危険を比較した。3因子を同時に投入すると、ADL障害ありの調整オッズ比は、うつでは0.8(95%信頼区間0.3-2.0)、無感動では3.2(1.6-6.2)、不安では1.5(0.8-3.1)であり、ADL障害との関連が、無感動因子との間で見られたことが注目された。なお、研究協力地域(高知県大月町)に居住し、研究参加に同意した、65-84歳在宅高齢者のうち、追跡開始年度の、老人保健法による基本健康診査受診者について、診査所見を、役場担当部署の協力を得て収集した。精神症状因子とADL障害との関連が、健康診査所見を調整した場合も残るのか、検討を進める。以上の解析には、個人同定項目が削除されたデータファイルを用い、個人情報保護には細心の注意を払った。
|