研究概要 |
我々はH県に所在する製造業の企業の健康管理を行っており、職場の自覚的ストレスに関する調査を1995年から2年おきに行っている。1997年2月の調査では、全従業員1,363名に対し、回答者数は1,246名(84.6%)であった。そのうち2年後の調査で追跡できた者は1,036名(83.1%)であった。職場の自覚的ストレスに関する調査票は上畑のものに準じ、各項目について、"いつも"、"ときどき"、"感じない"からひとつを選択するものであった。疾病の発生についてはストレス関連疾患について1年間の受診の状況を聞いた。この職場のストレス関連疾患としては、この調査で罹患率が高かった胃・十二指腸潰瘍、腰痛症、頸肩腕症候群、不眠症を選択した。1999年2月の調査で得られた各疾病に関する受診の有無を目的変数、1997年2月の調査で得られた自覚的ストレス度、性、年齢、飲酒、喫煙、職種を説明変数とする多重logistic回帰分析を行った。胃・十二指腸潰瘍については、女性の男性に対するオッズ比(95%CI)は0.28(0.10-0.81)、年齢のオッズ比(95%CI)は1歳につき1.05(1.02-1.09)、工場勤務の研究開発・事務他に対するオッズ比(95%CI)は2.38(1.21-4.69)、「仕事が暇すぎる」のオッズ比は2.00(1.02-3.94)であった。腰痛と関連した要因については、工場勤務の研究開発・事務他に対するオッズ比(95%CI)は3.94(1.69-9.15)、「仕事が暇すぎる」のオッズ比は2.29(1.12-4.68)であった。頸肩腕症候群については、工場勤務の研究開発・事務他に対するオッズ比(95%CI)は2.18(1.08-4.39)、「時間に追われている感じがする」のオッズ比(95%CI)は2.47(0.94-6.50)であった。不眠症については、「仕事の拘束時間が長すぎる」のオッズ比(95%CI)は2.56(1.00-6.51)であった。
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