研究課題/領域番号 |
14570348
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研究機関 | 静岡県立大学 |
研究代表者 |
吹野 洋子 静岡県立大学, 食品栄養科学部, 助教授 (70075000)
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研究分担者 |
伊勢村 護 静岡県立大学, 食品栄養科学部, 教授 (40028197)
磯 博康 筑波大学, 社会医学系, 教授 (50223053)
青木 伸雄 浜松医科大学, 医学部衛生学, 教授 (10109762)
新保 真理 静岡県立大学, 食品栄養科学部, 助手 (20300139)
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キーワード | 緑茶飲用 / ポリフェノール量 / 空腹時血糖 / インスリン抵抗性 / hs-CRP / 無作為化比較試験 |
研究概要 |
緑茶の種々の生理活性が報告されてきたが、人を対象とした糖尿病・循環器疾患の管理、予防における緑茶ポリフェノール摂取の意義に関して不明確な部分が多い。 本研究は中高年者の糖尿病境界型及び糖尿病者に対し、無作為化比較試験により、緑茶追加飲用前後のインスリン抵抗性(HOMA指数による評価)、および高感度C反応性たんぱく(hs-CRP)への影響等を分析した。 調査対象は空腹時血糖値110mg/d1以上の者で本研究に同意の得られた静岡県東部地区在住の32〜72歳、46名(男性37名、女性9名)とした。性、年齢、血液検査結果等を考慮し、無作為に介入群(緑茶飲用追加期)と非介入群(緑茶飲用非追加期)に分けた。介入群には1日に無理なく摂取可能なポリフェノール量500mg相当(緑茶抽出物粉末1包)を供し、1日に3〜4回に分けて、湯にて溶解し、日常の食生活に加え、2ヵ月間の追加飲用を依頼した。介入群に介入を開始し、非介入群の追跡を行った。ポリフェノール摂取量は緑茶摂取量に試飲による普段飲用している緑茶の濃度3区分の判定と濃度別ポリフェノール量の分析値を用いて算出した。 調査開始2ヵ月後の介入群と非介入群との比較では、介入群のポリフェノールは733mg、非介入群476mgで介入群が有意に多い摂取を示した。介入後は介入前に比べ、体重、BMI、拡張期血圧、インスリン、HOMA指数がともに有意な減少を示した。また、ポリフェノール摂取量は286mgの有意な増加を示した。ポリフェノール摂取量の変化量が大きい程、体重、BMIともに変化量が有意な関連ではないが、負の方向を示す傾向がみられ、血糖、HOMA指数の変化量は負方向を示した。また、インスリンの変化量は正方向を示し、インスリン抵抗性については、今後の検討課題である。以上の結果より、緑茶ポリフェノール摂取は血糖を有意に下げるまでにはいかなかったが、糖尿病境界型、糖尿病者における疾病の予防、管理に緑茶飲用が有効であることが示唆された。
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