研究概要 |
職場のストレスに影響を与える性格・家庭の要因を調査するため、群馬県と富山県でアンケート調査を実施した。調査票は職種、事業場規模、職位、勤続年数、週の勤労時間、主観的健康状態、遅刻・欠勤日数、職場のストレス判定図、家庭のソーシャル・サポート、心の健康チェック表(MINI-27)、職場用コーピング尺度(庄司ら)、主要5因子性格検査などから構成された。事業場に協力を求めたが、メンタルヘルス調査は敬遠される傾向が強く、快諾が得られなかった。そのため、郵送法と学生の家族に変更して実施した。591名から回答が得られた。有効回答者は496名(83.9%)で、男性351名(平均年齢47.3歳)、女性145名(平均年齢39.5歳)を分析の対象とした。記入漏れなどによる47名と、主要5因子性格検査の妥当性尺度に問題がある48名(建前尺度やF尺度の高得点者など)、合計95名を削除した。 欠勤日数を従属変数として単相関を求めると、心の健康チェック表のストレス症状尺度で0.156(p<.01)、不安・心労尺度で0.115(p<.05)と有意な相関があった。家庭での情緒的サポートは、欠勤日数を減少させる方向に作用していた(-0.140,p<.001)。職場のストレスには、外的環境に働きかけて積極的なコーピング行動や認知をする方が、欠勤日数を減少させる方向に作用していた(-0.098,p<.005)。職場のストレス判定図の4尺度中、上司の支援は欠勤日数を増加させる方向に作用していた(-0.098,p<.005)が、他の尺度と主要5因子性格検査では相関がなかった。 心の健康チェック表(MINI-27)は欠勤日数をよく予測することがわかった。27項目の質問紙で、無料でダウンロードできる(http://psycho01.edu.toyama-u.ac.jp/)。勤労者が自分で心の健康をチェックして、セルフ・コントロールするのに活用できるだろう。今後の研究に活用するため、変数を絞って共分散分析を実施し、職場ストレスを緩和する要因を分析する予定である。
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