研究概要 |
初年度の研究目的は,思春期・青年期の一般集団・臨床集団に,うつ状態判定質問票と摂食障害判定質問票を同時に実施し,そのデータから新たな判定質問票を構成することである.ただし,臨床群については次年度に行うこととし,代わりに一般群について規模を拡大してデータを収集した.調査票はDSMに基づく自記式うつ状態判定用尺度DSD(27項目)と自記式摂食障害判定用尺度EDQ-R(54項目)を予定していたが,対象者からの要請もあり,自記式摂食障害判定用尺度としてはEAT-26を用いた.一般公立中学生485名,一般私立大学生159名,あわせて644名よりデータを採取したほか,DSDの標準化のため一般国立大学大学生1487名のデータを採取した.また,一部の対象者には,各尺度の併存的妥当性,構造的妥当性を検証するため,別の抑うつ尺度CES-Dおよび不安尺度STAIのデータも採取した.現在入力作業が終了し,データクリーニングが行われている.今後,2尺度の信頼性・妥当性の検証を行った上で,DSDによりうつ状態の有無を判定し,陽性群と陰性群に分けた上で,この2群の判別に摂食障害に関する各質問項目あるいは尺度得点がどのように寄与してるかを判別分析(あるいは重回帰分析)を用いて解析する.この結果により,DSDに摂食障害関係の項目をいくつか付け加え,うつ状態判定アルゴリズムに修正を加えて,新たな質問票を構成する.次年度は臨床群を中心に,再構成された質問票による群分けが診断的面接結果とどの程度一致するかを検討することにより,スクリーニング精度の改善を試みる予定である.
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