研究概要 |
(目的)がん検診の費用効果分析のリーグ表作成には、わが国における経済評価の問題点を明らかにし、標準化を図ることが必要である。そこで、大腸がん検診の経済評価を対象とし、わが国における経済評価研究の問題点について検討した。 (方法) 1)大腸がん検診に関する論文を、1985年から2003年についてMEDLINE、EMBASE、CIMHAL、医学中央雑誌、日本消化器集団検診学会誌から検索し、抄録レビューを行い、経済評価論文を抽出する。 2)1)で抽出された論文について、(1)からの(5)条件を満たし、(6)あるいは(7)について検討した論文を選択する。(1)日本データの分析(2)完全な経済評価方法(CEA,CUA,CBA)(3)分析の立場を明確にしている(4)エンドポイントが最終結果である(5)増分分析として再解析可能なデータの提示(6)効率的な検診方法を選択(7)開始年齢または終了年齢の選択 3)選択された論文について増分分析を行い、大腸がん検診の効率的方法と、開始・終了年齢について再検討する。 (結果) 1)上記の条件から検索された大腸がん検診に関する1550文献のうち、経済評価論文として選択条件を満たしたのは英文2文献(Tsuji1991,Simbo1994)と和文2文献(新保1994、島田1997)であった。 2)効率的な検診方法を検討した3文献(Tsuji1991,Simbo1994、島田1997)について、増分分析をおこなった結果、いずれも免疫学的便潜血検査のよる逐年検診が効率的な方法として選択された。 3)終了年齢についての検討論文はなかったが、開始年齢については和文1文献(新保1994)で検討が行われていた。増分分析の結果では、55〜59歳が開始年齢として適切と考えられた。 4)選択された4文献において、増分分析が不十分であり、リードタイム・バイアスやレングス・バイアスへの対処は明確に示されていなかった。
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