(目的) がん検診の費用効果分析のリーグ表作成には、わが国における経済評価の問題点を明らかにし、標準化を図ることが必要である。そこで、がん検診に関する有効性評価ガイドラインにおける、経済評価の位置づけを明確にするし、諸外国におけるがん検診の経済評価のレビューを行う。また、わが国における経済評価研究の問題点について検討した。 (方法) 1)がん検診に関する有効性評価ガイドラインにおける、経済評価の位置づけを明確にする。 2)わが国におけるがん検診の経済評価研究のレビューを行う。 3)胃がん検診及び大腸がん検診についての経済評価を行い、リーグ表作成のための問題点を検討する。 (結果) 1)諸外国におけるがん検診の有効性評価に関するガイドラインでは、有効性評価と共に、勧告の判断基準とする場合と、勧告と並行し経済評価のレビューを行い、政策決定への情報提供を行うものがある。 2)わが国における大腸がん検診の経済評価では、増分分析が不十分であり、リードタイム・バイアスやレングス・バイアスへの対処は明確に示されていなかった。 3)大腸がん検診は胃がん検診より費用効果的であり、がん検診の実施には優先的に選択すべき検診方法と考えられた。 がん検診のリーグ表作成には、標準化された経済評価手法に基づいた研究の集積とともに、がん検診固有の問題点に対処できる経済評価モデルの開発が必要と考えられた。
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