研究概要 |
昨年作成した、40歳未満で診断された若年胃癌症例と対照(健診受診者)のペア55組について、血清の測定を行った。昨年inteleukine-8(IL-8)とHelicobacter pylori抗体が胃がんリスクと有意な関連を示したことを報告したが、今年度は新たな項目として、銅亜鉛superooxide dismutase(Cu, Zn-SOD)、inteleukine-6(IL-6)、epidermal grouth factor(EGF)、同receptor(EGF-R)、tranceforming growth factor β-1(TGFβ-1)、soluble Fas(sFas)を測定した。 各血清マーカーについては、まず対照と胃がん症例の間でWilcoxonの順位和検定による比較を行い、次に条件付き多重ロジスティック回帰によって、各マーカーが胃がんのリスクと関連するか分析した。対照と胃がん症例の間で有意な差が認められたのは、Cu, Zn-SOD、IL-6、EGF、EGF-R、TGFβ-1とsFasであった。対照と胃がん症例ではそれぞれ、Cu, Zn-SOD(平均値±標準偏差)は237(ng/ml)±104と185±132(p=0.002、症例が低値)、IL-6は0.72(pg/ml)±0.93と1.38±2.31(p=0.034,症例が高値)、 EGFは680(pg/ml)±278と487±282(p<0.001、症例が低値)、EGF-Rは158(fm/ml)±45.7と148±64.0(p=0.013、症例が低値)、TGFβ-1は1.74×10^5(ng/ml)±3.69×10^5と1.18×10^5±3.12 ×10^5(p=0.006、症例が低値)、sFasは18400(ng/ml)±13500と177±143(p=0.005、症例が低値)であった。一方、条件付き多重ロジスティック回帰によって胃がんリスクとの有意な関連が認められたのは、Cu, Zn-SOD (p=0.025、高値でリスク低い)とEGF(p=0.005、高値でリスク低い)であった。
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