研究概要 |
本年度は、下記3課題の検討を実施した。 (1)特異項目機能(DIF : Differential Item Functioning)解析 これまで国際的に最も広く用いられている精神健康状態評価尺度、Center for Epidemiologic Studies Depression Scale(CES-D)に対し、本研究者が保有する日本人データおよび米国の白人等のデータ(研究協力者所持・米国大学への申請によって得たもの)を用いて、DIF解析を行なった。その結果、日本人のpositive項目群への回答には、国際的にきわめて特異的な、著しい抑制が見られることを実証した。 (2)項目反応理論(IRT : Item Response Theory)解析 これまでの調査でそれぞれ3,000人以上のデータが得られている汎用精神健康状態評価尺度、CES-DおよびGeneral Health Questionnaire(GHQ)の各項目回答(4選択肢)を2値化し、2 Parameter-Logistic ModelによるIRT解析を適用した。それにより、各構成項目の各潜在特性上の閾値(例えば、抑うつ状態のどの重症度レベルを捉えているのか)を算出した。その閾値は、効率的な評価(潜在特性上の個人プロットの数理科学的推定)のためのTestimgアルゴリズムを考案する際に大きな根拠となる所見である。 (3)Computerized Adaptive Testing(CAT)システム開発のための情報収集 米国のUniv. of South Floridaの教育学部や心理学部・公衆衛生学部の研究者と面談し、CATシステム構築に必要なハード面・ソフト面の設定条件等についての情報を得た。中でも、教育学部のDr. Parshallからは、Testingアルゴリズムを考案する際の具体的手順やこれまで試みられてきたCATの制約や限界についての専門的なアドバイスを得た。
|