研究概要 |
本年度はMGBプローブを用いたTaqMan PCR法によるABO式血液型genotypingについて検討を行った。 TaqManプローブはPCR中、フォワードプライマーとリバースプライマーに挟まれたターゲット配列とアニールするが、伸長反応の際にTaq polymeraseの5'nuclease活性によって分解され、クエンチングされていた5'側の色素の蛍光強度が増加する。この蛍光はPCR産物の生成量に比例するため、template DNAがどちらのalleleであったかを判定できる。プローブの3'側にTm enhancerであるMinor Groove Binder(MGB)を結合することにより短い配列で高いTm値を得ることができる。 PCR-RFLP法及び融解曲線分析法によってABO式血液型遺伝子型が判明している試料を用いた。 ABO式血液型糖転移酵素cDNAの261番の欠失の有無、703番、796番及び930番における塩基置換^<3)>を識別するためのプライマー及びMGBプローブを設計、合成した。261番ではA=B型用プローブをFAMで、O型用プローブをVICで標識した。その他の3部位ではA=O型用をFAMで、B型用をVICで標識した。PCRはPRISM7700 Sequence Detector(Applied Biosystems)を使用して、リアルタイムで蛍光を検出しながら行った。 261番A=B型用プローブでは、OOと他の5種類の遺伝子型を区別することはできたが、OOでもサイクル数を重ねると軽度の蛍光の増加がみられた。261番O型用プローブでは蛍光強度のパターンはOをホモで持つOO,ヘテロのAO,BO,Oを持たないAA,AB,BBの3つのパターンに分かれたが、Oを持たないAA,AB,BBでもサイクル数を重ねると軽度の蛍光の増加がみられた。 703番、796番及び930番において、A=O型用プローブではBB以外の5種類の遺伝子型とBBを明瞭に識別することができた。また、B型用プローブではB遺伝子を持つBB,BO,ABとB遺伝子を持たないAA,AO,OOを明瞭に識別することができた。ただし、796番においてサイクル数を重ねるとB遺伝子を持たないAA,AO,OOでも軽度の蛍光の増加がみられる場合があった。
|