研究概要 |
一酸化炭素(CO)はよく見られる中毒死の原因である。また、その毒性は、CO-Hb形成によって引き起こされる低酸素によるものと考えられてきたので、虚血性心疾患患者への影響が問題になる場合が少なくない。そこで、COの虚血心筋の細胞死に対する影響とその機序について検討した。ラット胎児心筋由来H9c2細胞について、(1)normoxia、DMEM(10%FBS)(2)2%O_2、HBSS(serum free, glucose free)(3)1%CO+2%O_2、HBSS(serum free, glucose free)の条件下で培養した。24時間後の細胞死を色素排除法および蛍光染色法・α-fodrin分解・DNA agarose gelを用いて検討したまた、活性酸素種(ROS)生成についてはDCF生成・MAPK knaseの活性化についてwesternblotting法で検討した。HBss、低酸素下、血清・ブドウ糖除去による細胞死は、R0S生成とMAP kinase活性化を伴っており、α-fodrin分解・細胞膜破綻を伴うネクローシスであった。1%CO暴露はMAP kinase活性化を増強し、ROS生成・.脂質過酸化・虚血細胞死を抑制したが、PD98059によるMAP kinase活性化阻害により、COの細胞保護効果は抑制された。低濃度COは、心筋由来細胞の虚血細胞死(ネクローシス)を抑制した。これは、MAP kinaseの活性化を介していると考えられる。COは虚血性心疾患に保護的に働く可能性が示された。
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