研究概要 |
正常ヒト臍帯血由来血管内皮細胞(HUVEC)は新生児包皮由来で,専用培養液(Humedia-EG2)で6〜8代経代した。薬毒物の急性中毒による形態変化は24wellsの平底マイクロプレート中でコンフルエント少し前の状態になった段階で,専用培養液に薬毒物を一定濃度(10nM〜10mM(一部1Mから))添加した液に交換し,細胞の形態変化を4日間観察した。使用した薬毒物:メタンフェタミン,コカイン,モルヒネ,フェノバルビタール,トリアゾラム,スミチオン,メソミル,パラコート,グリホシネート,グリホサート,クレゾール,亜砒酸など計63種を使用しスクリーニングした。コントロールと比較して,形態変化が観察された濃度はグリホシネートとアジ化ナトリウムでは10mMまで形態変化が見られなかった。また,メタンフェタミン,コカイン,モルヒネ,コデイン,フェノバルビタール,ジアゼパム,ブロムワレリル尿素,アプロナライド,エフェドリン,アセトアミノフェン,アセチルサルチル酸,イブプロフェン,フェンテルミン,マラチオン,メソミル,グリホサート,アクリルアミドなど計23種の薬毒物では1mMまで形態変化が見られなかった。ジアゼパム,トリアゾラム,ハロペリドール,カルバマゼピン,フェニトイン,ジフェンヒドラミン,マザチコール,ビペリデン,トリヘキシフェニジル,フェンフルラミン,スリンダック,インドメタシン,スミチオン,DCPAの計14種では0.1mMまで形態変化が見られなかった。クロルプロマジン,プロメタジン,イミプラミン,アミトリプチリン,ゾテピン,ジフルニサル,パラコートの7種の薬毒物では10μMまで形態変化が見られなかった。また,亜砒酸は1μMまで形態変化が見られなかった。以上の結果から薬毒物の急性中毒による形態変化と薬毒物の濃度の間に一定の相関があり,薬毒物の毒性について一定の傾向が見られた。
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