日本人には飲酒時にアセトアルデヒドが蓄積する多型性を示すフラッシャーが多い。本年は、アセトアルデヒドが蓄積する状態でのアルコールに関連する代謝動態を検討するために、アルデヒド脱水素酵素阻害剤を使った実験を行い、アセトアルデヒドと酢酸についての動態解析を引き続き行った。血中アルコール及びアセトアルデヒド・酢酸の濃度測定はガスクロマトグラフを使用し、気化平衡法によった。ガスクロマトグラフはオートサンプラーを備え、多数の測定を自動的に行うことができるものを使用した(島津製ヘッドスペース分析システム:GC-14A、HSS-4A、C-R7A)。血中アセトアルデヒド濃度と酢酸の測定法には迅速な前処置が必要であり、多数検体を処理するため、研究代表者と分担者が共同で実験を行った。また、これらの測定法について再点検を行い、その成果を論文で発表した。人体実験は貴重であるため、家兎を使い、アセトアルデヒドの蓄積をおこす阻害剤を使用して、予備的実験を行った。多くのデータを採取し、その上で、薬物動態学的検討を加え、コンピューター解析により薬物速度論モデルの比較検討を行った。この結果、アセトアルデヒドは、アルコールの初回投与の時に上昇するが、再投与時にはあまり上昇しなくなることが明らかとなった。動態モデルがあてはまるかどうかについて、インフォームド・コンセントの得られたヒトについて、飲酒実験を行い、個体差の検討の上で、薬物動態の予備的検討を行った。今後、更に実験を行う予定である。
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