研究課題/領域番号 |
14570391
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研究機関 | 札幌医科大学 |
研究代表者 |
安積 順一 札幌医科大学, 医学部, 講師 (00045551)
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研究分担者 |
玉木 敬二 京都大学, 医学部, 教授 (90217175)
松本 博志 札幌医科大学, 医学部, 教授 (60263092)
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キーワード | p53遺伝子 / 人獣鑑別 / 種属鑑別 / DNA多型 / 霊長類 / 分子系統樹 |
研究概要 |
1.p53遺伝子を用いた人獣鑑別および種属鑑別法の開発:動物種属間でp53遺伝子のアミノ酸が共通して保存されている領域(IVとV)にプライマーを設定しPCR法で増幅後、PCR増幅産物に含まれる第7イントロンの大きさと塩基配列を明らかにした。第7イントロンの大きさは、ヒト、ゴリラ、チンパンジー、ピグミーチンパンジー、ヒヒ、アカゲザルでは343bp、オランウータン328bp、フクロテナガザル、シロテナガザル、ニホンザル、リスザルでは342bp、キャプテン、ワタボシタマリンでは344bp、ギャラゴ330bp、ワオキツネザル308bp、ウシ329bp、ウマ341bp、シカ328bp、ヒツジ326bp、ブタ318bp、ネコ267bp、イヌ393bp、ラット311bp、マウス322bp、モルモット294bp、クジラ340bpであった。霊長類内では、増幅産物の大きさの違いからは種属の特定が困難なものもあった。その他の動物種間おいては異なる大きさを有し、あるいは塩基配列においても異なる配列を示すことから動物種の特定が可能であった。 2.ヒトと非ヒト霊長類の識別および進化、分岐:ヒトと非ヒト霊長類(15種類)のp53遺伝子第4、第5および第6エクソンの塩基配列の解析を行った。チンパンジーにおいて第5エクソンの81番目(G→A)と84番目(C→T)の2ヵ所に、ゴリラでは第5エクソンの10番目(G→A)と114番目(C→T)の2カ所に塩基置換があり、今まで困難であるとされていたヒトとチンパンジーおよびゴリラとの鑑別が可能であった。ヒトとサル類の塩基の相同性を比較したところ、ヒトと類人猿では平均は約98.8%、旧世界ザルでは平均約96.4%、新世界ザルでは平均約94.1%、原猿類では平均約86.2%の相同性を示した。平均距離法(UPGMA)で分子系統樹を作成して、霊長類16種類の系統関係を解析したところ、従来の形態学的分類とは矛盾しなかった。霊長類のp53遺伝子塩基配列の解明は、ヒトの進化や分岐の解明に有効であることが明らかになった。
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