1.ラット肝細胞において、アルコールによるNF-kappaB活性化は一時的に上昇しその後減弱するが、その過程には代謝物アセトアルデヒドによるIkappaB変性および分解過程の阻害が関与している。 2.TLR4変異マウスを用いた検討で、アルコール負荷によるNF-kappaB活性化とLPS負荷によるtoll-like receptor 4を介するNF-kappaB活性化とは異なる経路で活性化することが明らかになり、アルコールもNF-kappaB活性化因子の一つであることが証明された。 3.IkappaB分解阻害剤の付加によりアポトーシス誘導系のAP-1活性とJNK活性の減弱が阻害された。また、NF-kappaBによって転写制御されるIAP mRNAはIkappaB分解阻害剤により、その誘導は減弱した。 4.IkappaB分解阻害剤の付加はエタノールによるアポトーシスを減弱させた。エタノールによるアポトーシスへ制御にNF-kappaB活性化経路が関与していることが明らかになった 5.ラット潅流肝においてアルコールによるJNK活性化はAkt活性化によって制御していることを見いだした。その活性化は、アルコール代謝阻害剤で増強することから、代謝非依存性の活性化経路が働いていることが明らかになった。このことは、代謝系の存在しない細胞や組織、臓器においてアポトーシス誘導系の活性化をAkt活性化を通して制御していることを示している。 6.非アルコール性肝障害マウスモデルを用いた実験では、肝障害の進展機構に従来言われていたCYP2E1が関与しないことを示した。 7.同様のモデルにおいて、PPARαアゴニスとが脂肪肝を軽減するものの糖代謝系に変化をもたらすことが明らかとなった。
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