研究課題/領域番号 |
14570396
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研究機関 | 東海大学 |
研究代表者 |
武市 早苗 東海大学, 医学部, 教授 (20035497)
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研究分担者 |
中嶋 克行 株式会社日本抗体研究所, 開発部長(研究職)
後藤 信哉 東海大学, 医学部, 助教授 (50225653)
佐藤 文子 東海大学, 医学部, 助手 (70328128)
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キーワード | ポックリ病 / レムナント・リポ蛋白 / 外膜依存性冠攣縮 / Rho-kinase / 内皮依存性冠攣縮 / 一酸化窒素(NO) / 死後変化 / 妊婦 |
研究概要 |
われわれはポックリ病の原因を高レムナント(RLP)血症による強烈な冠攣縮である可能性を提唱してきた。昨年度は、豚冠動脈の外膜にポックリ病死症例の血漿から分離・精製したRLPを作用させた後、セロトニン刺激により冠動脈の攣縮を誘発したところ、RLP処置部分に極めて強い攣縮を起こすことを認めた。同攣縮部には低分子G蛋白Rho-kinaseのm-RNAが増量しており、この冠攣縮はRho-kinaseの阻害剤Hydroxy fasudilで阻害された。本年度は、(1)昨年の豚実験の再現性の確認を行った。 (2)一方、血管内皮のNOが冠攣縮に果たす役割をみた。ウサギ大動脈を用いた攣縮実験で内皮依存性アセチルコリン弛緩がRLPで抑制されることはすでに予備実験で証明済みである。今回は牛の肺動脈内皮の培養細胞をもちいたin vitro実験で、RLPが濃度依存性にNO産生を抑制し、一方、NO合成酵素(eNOS)量は変化しないものの活性が抑制されることを明らかにした。 以上(1)(2)は、RLPが冠動脈の内皮・外膜両者を介する攣縮に深く関わっていることを示唆している。(3)更に、死体血を用いた研究の正当性を証明するために、われわれが着目している脂質ならびに脂質代謝産物の死後変化の検討を種々方法により行ったところ、死体血におけるこれら測定値は生前の値を反映していることが確認された。 なお、妊婦について血清脂質ならびに脂質代謝産物を検討することにより(4)妊婦の血清TG, TCは健常人に比べ有意に高値であるが、RLP-C/VLDL-CならびにRLP-TG/VLDL-TGの値が有意に低値であることが分かった。ポックリ病が成人男性に多発し、成人女性に発症例がないことの説明に有効なデータと思われた。
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