抗原提示のモデルのひとつとして、ヒト皮膚表皮における樹状細胞(DC)とランゲルハンス細胞(LC)の機能的連携について解析をおこなった。LCはDCと同じく骨髄に起源を有するがサイトカイン研究の進歩によりDCより分化せしめることが可能となった。LCはCLAやE-Cadなど特有のマーカーを発現しDCとの鑑別が可能であった。DCはLCに比べ高いレベルでHLAクラスI分子を発現し、共刺激分子の発現も強度であった。またLCは抗原分子の取り込みが低下しており、抗原はペプチドに分解されることなく永く細胞表面に留まっていた。そして抗原特異的T細胞の活性化能もDCに比べ低下していた。さらにDCとLCは独特のケモカイン受容体発現のパターンを有していた。LCは未分解の抗原をDCに受け渡すことが可能であった。これには細胞間接触を必要とした。トランスの状態で抗原を受けとったDCは抗原特異的T細胞を活性化することができた。これらの結果から表皮LCは主に真皮に存在するDCに未処理のまま抗原を伝達し、この機構によって皮膚における抗原特異的免疫応答を効率化、増幅せしめるものと考えた。各種炎症自己免疫疾患の表出の場として重要な皮膚での免疫応答を統御調整するてがかりとなるものと思われる。さらなるDCの抗原提示における分子機構生化学的機構の解明を目指したい。
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