研究概要 |
(慢性)関節リウマチ(RA)患者の滑膜組織より確立した滑膜線維芽細胞において,インターフェロンγ(IFN-γ)刺激によりキナーゼ蛋白Jak1のリン酸化と転写因子STAT1の活性化が誘導され,腫瘍壊死因子(TNF-α)刺激によりIKKカスケードリン酸化と転写因子NF-κB活性化が誘導されることを明らかにした。インターロイキン1(IL-1)刺激ではTNF-αと同様のIKKリン酸化とNF-κB活性化が誘導されるが,IL-17刺激では有意なNF-κB活性化は起こらなかった。また,TNF-αおよびIL-1によるCXCR3リガンド(CXCL9,10,11)産生誘導には,JNKおよびp38キナーゼのMAKキナーゼカスケードの活性化が関与することを明らかにした。RA滑膜線維芽細胞において,IFN-γあるいはTNF-α刺激による相互の受容体(IRFGR1/2およびTNFRI)の発現の有意な増強は明らかではなく,受容体レベルの相乗作用がCXCR3リガンド産生には重要でないことが示唆された。 CXCL9-11の各5'上流非翻訳プロモーター領域を挿入したルシフェラーゼ遺伝子ベクターを作成し、エレクトロポレーション法により滑膜線維芽細胞株に導入した。これらの細胞株を用いてIFN-γとTNF-αによるCXCR3リガンドの転写活性をルシフェラーゼレポーターアッセイにより定量化することにより,転写レベルでのIFN-γとTNF-αの相乗作用を明らかにした。
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