p53には、細胞同期停止作用、アポトーシスの誘導などを介して、発癌に抑制的に働くが、それ以外に、血管新生の阻害、マトリックスメタプロテアーゼ産生抑制などの抗炎症性作用を有している。 関節リウマチの(RA)の病態の主座である滑膜においては、血管新生、炎症細胞の浸潤、マトリックスプロテアーゼの産生がみられ、滑膜炎、関節破壊が誘導される。これら滑膜局所に人為的にp53を誘導することは、RAの治療につながると考えられる。 p53誘導作用が示唆されている、新規抗リウマチ剤レフルノミドの作用を検討した。レフルノミドは、活性化T細胞に選択的にp53発現を誘導し、細同期を停止させる作用があることがわかった。 また、RA患者より分離された滑膜細胞に対する作用を検討したところ、レフルノミドは、IL-1β誘導による滑膜細胞からのMMP-1、MMP-3、MMP-13の産生を抑制することが判明した。 またレフルノミドは、IL-1β刺激で誘導されるJNK1/2のリン酸化を阻害することが判った。 レフルノミドの抗リウマチ作用として、活性化T細胞へのp53発現誘導による細胞同期の停止、滑膜細胞からのMMP産生の抑制が考えられた。
|