研究概要 |
Plasmid DNA(pDNA)を粘膜に投与することにより、気道粘膜にIgA抗体を伴う粘膜免疫を誘導できることが示された。一般に分泌型IgA抗体の産生には、IL-4などのTh2タイプのサイトカインが関与することが報告されているが、Plasmid DNAを粘膜に投与した場合にはIL-4を産生するTh2細胞のみならず、IFN-γを産生するTh1細胞も誘導されることが認められ、粘膜を介したDNAワクチンはTh1タイプの免疫も気道粘膜に誘導できることが示された。よって、粘膜DNAワクチンは気道粘膜におけるTh2タイプのアレルギー反応を抑制できる可能性が示された。つぎに抗原吸入誘発肺好酸球浸潤マウスモデルを用い、肺感作抗原をコードするpDNAを予防的に粘膜に投与することにより誘導されたTh1優位の粘膜免疫が、肺への好酸球浸潤ならびに好酸球性炎症を阻止できるかを検討した。その結果、粘膜DNAワクチンは肺好酸球浸潤を抑制できることが明らかとなった。さらに,肺好酸球浸潤を惹起させた後にpDNAを用いて粘膜免疫を誘導した場合にも,好酸球浸潤の改善を認めることが判明した。以上の結果は、粘膜DNAワクチンが肺好酸球浸潤の抑制に有効であることを証明しており、アレルギー疾患の治療法のひとつとして粘膜DNAワクチンが有望である可能性が示された。
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