研究概要 |
本院外来通院中の気管支喘息患者を重症度別に分類するため、約100名の安定期の喘息患者につき、治療内容の推移、肺機能検査所見を調査するとともに、末梢血好酸球数、総IgEレベル、血漿eotaxin-1濃度、血漿IL-5濃度を測定した。一方、ステロイド治療によるeotaxin-1濃度を含む血中マーカーの変化を検討するため、症状増悪によりステロイド治療を要する非安定期の喘息患者15名につき、経口ステロイド投与前、投与1週間後の血中マーカーの変化を観察した。安定期の喘息患者の血中マーカーの検討では、GINAステップ4の患者では、血漿eotaxin-1濃度は軽、中等症の患者に比べ高い傾向を示したが、総IgEレベル、末梢血好酸球数、血漿IL-5濃度と重症度の関連は明らかでなかった。一方、非安定期の喘息患者のステロイド投与前後の血中マーカーは、末梢血好酸球数と血漿IL-5濃度が治療後に低下傾向を示したのに対し、血漿eotaxin-1濃度は不変であった。この結果、血漿eotaxin-1濃度はステロイド抵抗性であり、ベースラインの重症度と相関している可能性が示唆された。誘発喀痰については、各重症度に分類される安定期の喘息患者について採取を開始し、現在約20例のサンプルを集積した。 In vitroの実験については、気道上皮細胞としてprimary culture, A549、単球系細胞として、U937, MonoMac 6においてeotaxin-1, MCP-4の発現をNorthern blotならびにELISA法で検出を試みた。A549、U937において、eotaxin-1, MCP-4のmRNAがTNFα刺激により誘導され、dexamethasone投与により抑制された。しかしながら、eotaxin-1, MCP-4の蛋白レベルは低く、ステロイドの長期投与や各種薬剤のケモカインレベルヘの影響をみるには、これらのcell lineではmRNAレベルでの検討が必要と考えられた。
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