研究概要 |
背景:SLEにおいてステロイド薬は最も頻用される治療薬であるが、臨床的には一部の症例にステロイド治療抵抗群が存在する。 目的:SLEにおけるGR多型とステロイド抵抗性との関連を明らかにする。 方法:(1)SLE患者166例および健常コントロール52例よりgenomic DNAを抽出し、GRのligand binding domain(LBD)を構成しているexon7,8にプライマーを設定しPCRを行い、direct sequence法によりGRの遺伝子多型を解析した。(2)無作為に抽出したSLE患者32例において、exon2〜6およびexon9αについてSNP解析を行った。(3)検出されたSNPsについて連鎖不平衡について検討した。(4)LBDで検出されたSLE患者各々の治療内容や病態、検査データと、検出された多型との関連性の検討を行った。 結果:1.exon 8に位置する2166C>Tのsilent SNPを検出した。 2.2166C>TのCT genotypeの発現頻度は、コントロールに比べSLE患者で有意に高かった。 3.exon 5の上流部位、exon6,8,9αの4ヵ所に2166C>Tと連鎖不平衡のあるsilentSNPを検出した。 4.2166 CT genotypeの発現頻度とSLEの病態(腎症、CNSループス、漿膜炎の有無)や免疫学的データ(低補体価、抗dsDNA抗体陽性、抗Sm抗体陽性)との関連性を検討したところ、抗Sm抗体陽性例において、CTgenotypeの発現頻度が有意に高かった。 結論:SLEに有意に発現頻度の高いGRのLBDにsilentSNPを検出し、さらにいくつかのSLEの病態との有意な関連性を見出したが、ステロイド抵抗性との関連は見出せなかった。現在、他に検出されたアミノ酸置換のあるSNPとSLE患者のステロイド治療抵抗性との関連について検討中である。
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