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2002 年度 実績報告書

C型、B型肝炎ウイルス感染可能な初代化肝細胞を用いた発癌機序の解析

研究課題

研究課題/領域番号 14570435
研究機関(財)東京都医学研究機構

研究代表者

塗谷 秀子  財団法人東京都医学研究機構, 東京都臨床医学総合研究所, 研究員 (80270685)

研究分担者 小原 道法  財団法人東京都医学研究機構, 東京都臨床医学総合研究所, 副参事研究員 (10250218)
キーワードHBV, HCV重複感染 / DNA helicase / 発癌
研究概要

<目的>
HBVおよびHCV重感染例で肝細胞癌の発癌率が上昇する原因を解明するため、DNAヘリカーゼの異常に着目して解析している。
<方法および結果>
1.HCV、HBV由来蛋白を強制発現させた細胞において、ウイルス由来蛋白がDNAヘリカーゼの核への局在を抑制するかどうか検討を行った。
正常型RecQ型DNAヘリカーゼ(Werner helicase : WRN helicase)を発現している子宮頸癌由来のHeLa細胞にHCV core遺伝子をトランスフェクションし、core蛋白質を発現させた後に、経時的にHCVcore蛋白質とWRN helicaseの細胞内の局在を免疫染色後に共焦点レーザー顕微鏡で観察した。HCVcore蛋白質の発現量の増加にともない、WRN helicaseがHCVcore蛋白質と共に細胞質に存在しており、核への移行が阻害されていることが示された。
2.HBV・HCV単独感染および重複感染した患者肝組織について、肝組織中のWRN helicase蛋白の肝組織細胞内の局在の相違について検討した。
HBV、HCV単独感染および重複感染した患者肝組織および、HBV、HCV非感染患者肝組織について、HCVcore蛋白とWRN helicase蛋白の細胞内の分布の相違について、免疫染色後に共焦点レーザー顕微鏡で観察した。HBV、HCV非感染患者肝組織で1はWRN helicase蛋白が細胞核内に局在し強く染色されたのに対し、HCV単独感染者肝組織の非癌部では、WRN helicase蛋白が細胞核および核周囲にも存在し、非感染患者肝組織にくらべ弱く染色された。また微量HBVおよびHCV重感染肝組織の非癌部では、WRN helicase蛋白はHCV単独感染肝組織よりもさらに弱く染色され、細胞核および核周囲にも存在することが示された。重感染肝組織の癌部ではWRN helicase蛋白はほとんど染色されなかった。
3.HCV, HBV重感染がどのようにWRN helicaseに影響を与えて発癌に至るか、その過程を解析するため両ウイルスの感染可能な正常ヒト肝細胞の初代細胞により近い培養細胞系を構築中である。
<考察>
これらの結果から、HCVに感染するとWRN helicase蛋白の核内の移行が阻害される可能性が示された。またHBVとHCVが重複感染すると非感染およびHCV単独感染にくらべWRN helicaseが検出しにくくなることから、WRN helicaseが、細胞核外にびまん性に拡散することが推測され、癌部ではそれがさらに顕著であることが示峻された。HBV、HCVが重感染することでWRN helicaseに影響を与え、DNAの修復機構が正常に働かなくなることにより突然変異率が高まり、発癌率が上昇することが推測された。

  • 研究成果

    (2件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (2件)

  • [文献書誌] Yoshiko Mizukawa: "Direct Evidence for Interferon-γ Production by Effector-Memory-Type Intraepidermal T Cells Residing at an Effector Site of Immunopathology in Fixed Drug Eruption"American Journal of Pathology. 161,4. 1337-1347 (2002)

  • [文献書誌] Shouko Arima: "Impaired function of antigen-presenting dendritic cells in patients with chronic hepatitis B; Localization of HBV DNA and HBV RNA in blood DC by in situ hybridization"International Journal of Molecular Medecine. (in press).

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公開日: 2004-04-07   更新日: 2016-04-21  

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