研究課題/領域番号 |
14570436
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研究機関 | 国立精神・神経センター |
研究代表者 |
安藤 哲也 国立精神・神経センター, 精神保健研究所・心身医学研究部, 室長 (50311428)
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研究分担者 |
小牧 元 国立精神・神経センター, 精神保健研究所・心身医学研究部, 部長 (70225564)
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キーワード | 摂食障害 / 神経性無食欲症 / 神経性大食症 / グレリン / 感受性遺伝子 / 遺伝子多型 |
研究概要 |
<サンプルの収集>全国の研究協力施設で摂食障害患者の血液試料と臨床データを収集した。サンプル数は平成17年3月時点の累計で神経性無食欲症(AN)365人、神経性大食症(BN)127人に達した。加えて累計310人の某大学女子学生の健常ボランティアで血液試料の採取、身長、体重、体脂肪率等の測定、摂食障害関連心理特性の測定を終了した。<解析>昨年度からのグレリン遺伝子Len72Met多型に加えて、新たにArg51Gln多型、Gln90Leu多型の解析を追加した。しかし、両多型ともマイナーアレルの頻度は5%以下と低く、患者群と対照群間にアレル頻度の差を認めなかった。Leu72Met多型の72Metアレルの頻度はBN群で対照群に比較して有意に高かった。AN群でも有意差には達しないが72Metアレルの頻度が高い傾向が見られた。非臨床例においてLeu72Met型の72Metアレル保有者(Met72Met型とLeu72Met型)は非保有者(Leu72Leu型)に比較すると、現在の体重が有意に重く、過去の最低体重、最高体重も大きかった。また、Eating Disorder Inventory-2の下位尺度のひとつ「身体への不満」の得点が有意に高かった。空腹時の血清脂質(総コレステロール、HDLコレステロール、中性脂肪、遊離脂肪酸)の値や血糖値には差は認められなかった。さらに、Leu72Met多型と早朝空腹時の血中のグレリン、IGF-I、成長ホルモン濃度との関連を調べたが、いずれの値も遺伝子型による違いは認められなかった。以上の結果から、グレリン遺伝子Leu72Met多型がBNへの罹患感受性に関連し、それは体重の増えやすさを介している可能性が示された。しかし、Len72Met多型の機能は未だ不明で、血中グレリン濃度との関連も認められなかったことから、メカニズムの解明にはさらに研究が必要である。
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