研究概要 |
膵癌に対するGemcitabineを用いた化学療法の個別化・最適化のために、まず膵癌細胞株6種(Pancl,MIA-PaCa2,AsPC1,BxPC3,KPIN,Su86.86)のGemcitabineに対する感受性をMTTアッセイで数値化した。 また、1万個の遺伝子が収載されたcDNAマイクロアレイを用いて6種の細胞株の遺伝子発現情報を解析し、Gemcitabineに対する感受性と発現量が相関している遺伝子群を統計学的に抽出した。抽出されたGemcitabine感受性規定遺伝子群は、感受性と正の相関を示すものが15遺伝子、感受性と負の相関を示すものが15遺伝子、計30遺伝子であった。 さらに、MIA-PaCa2細胞株にGemcitabine長期曝露をおこなって樹立したGemcitabine耐性株と元株の遺伝子発現情報の比較により、上記の6種の細胞株を用いた系とは独立にGemcitabine感受性規定遺伝子群を抽出した。 6種の細胞株を用いた系から抽出したGemcitabine感受性遺伝子群と、耐性株と元株の比較から抽出したGemcitabine感受性遺伝子群で、重複して抽出された遺伝子は6遺伝子であった。感受性と正の相関を示すものが2遺伝子(GPR3,CRYAB)、感受性と負の相関を示すものが4遺伝子(RPS13,TNFSF6,PELO,STXBP3)であった。これらのうち、TNFSF6についてはGemcitabine耐性MIA-PaCa2株と元のMIA-PaCa2株のWestern Blottingでタンパク発現量を検討し、遺伝子発現と同様に、Gemcitabine耐性株でTNFSF6のタンパク発現量が低下していることが確認された。
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