研究課題/領域番号 |
14570457
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研究機関 | 岐阜大学 |
研究代表者 |
植松 孝広 岐阜大学, 医学部附属病院, 助手 (90334937)
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研究分担者 |
白鳥 義宗 岐阜大学, 医学部附属病院, 助手 (20313877)
四童子 好広 県立長崎シーボルト大学, 看護栄養学部, 教授 (00111518)
森脇 久隆 岐阜大学, 医学部, 教授 (50174470)
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キーワード | レチノイド / 肝癌 / 化学予防 / テロメラーゼ / アポトーシス / クローン除去 / 分子標的 / 核内受容体 |
研究概要 |
我々はレチノイドによる肝発癌抑制をテーマとして、一貫して研究を進めてきた。その結果、根治療法後の二次肝癌の発生を有意に抑制できることを、さらに肝癌の発生を抑制するのみならず、それにより患者の生命予後をも改善することをすでに明らかにしてきた。その過程において肝癌のプログラム細胞死とテロメラーゼの異常とが密接に関与していることを見いだし、その機序について検討を進めている。本年度の重要な成績は、以下の通りである。 1)この非環式レチノイドは、単一の核内受容体にリガンドとして結合するのではなく、かなり広範囲の核内受容体と結合することが明らかとなった。この核内受容体は細胞特異性があり、そのレチノイドとの反応性にも細胞種により違いが認められた。これは分化誘導やアポトーシス誘導機序を考える上でも、今後の薬剤デザイン上も重要と考えられた。 2)非環式レチノイドが肝癌細胞においてテロメラーゼ活性を抑制すること、その際テロメラーゼ活性に強い影響を与えると言われているtelomerase reverse transcriptase (TERT)のmRNA発現量も変化しており、そのような系を介しての作用が推測される。 3)このテロメラーゼ活性の変化は核内受容体を介しての作用が示唆されており、実際テロメラーゼ活性の変化に連動して各種核内受容体の変化が観察された。今後はどの核内受容体が直接的な関与をしているのかについて検討が必要と思われた。 これらの知見は、肝癌細胞内で変化を来した核内受容体分子を標的として、そのリガンドである非環式レチノイドを用いることにより、アポトーシスからすり抜けた癌細胞を再度分化させてアポトーシスに導くという発癌予防の戦略を考えていく上で極めて重要と考えている。
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