研究概要 |
C型肝炎における肝細胞障害の機序を検討するためにHCVの構造蛋白をdefective adenovirusに組み込み(HCV-AdV)マウスに静脈内投与し、C型肝炎モデルを作製した。正常マウスにおいてはHCV-AdVによる肝炎は抗CD8抗体によって抑制されるCTL依存性の肝細胞障害であったが、免疫不全マウスにおいては著明な肝細胞内の脂肪蓄積とミトコンドリア障害を伴うHCV蛋白自体によると考えられる肝細胞障害を認めた(投稿準備中)。HCVに対するCTL誘導型ワクチンを開発するためにBCGにNS5領域のCTLエピトープを発現するベクターを組み込んだ組み替えBCGワクチンを作製した。このワクチンを接種後、NS5を組み込んだvaccinia virusを投与したところその感染をほぼ完全に抑制した(Vaccine,2003)。そこで細胞性免疫を誘導するBCGのα抗原とNS5のCTLエピトープを組み込んだベクターによるDNAワクチンを作製しBCGワクチンと同様の検討をおこなったところ、NS5組み込みvaccinia virusの感染をほぼ完全に抑制した(投稿準備中)。細胞性免疫をより効率的に誘導するためにTh2 cytokineであるIL-4のアミノ酸2カ所に変異させたIL-4/IL-13receptor antagonistを作製した。このantagonistの有用性を検討するためにTh2 cytokine依存性の疾患である気管支喘息モデルを作製し、antagonistの発現ベクターを投与したところ気管支喘息をほぼ完全に抑制し有用性が確認できた(Gene Ther.,2003)。
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