研究概要 |
本研究では胃粘膜におけるヘリコバクターピロリ(HP)による粘膜免疫誘導機序およびMALTリンパ腫細胞に対する増殖調節機序を解明することを目的とし、新生時期胸腺摘出マウスを用いたMALTリンパ腫モデルを作成した。すなわち、生後3日目の新生仔期に胸腺摘出行ったBALB/cマウスにヘリコバクターピロリ(TN4F2株)を感染させ6ヶ月まで経時的に観察した。胃粘膜、所属リンパ節、小腸パイエル板リンパ球を分離しリンパ球サブセットを免疫染色・フローサイトメトリーにて解析し、感染初期におけるCD4陽性T細胞の重要性を報告した。また、蛍光色素標識抗CD11b, CD11c, CD8a, CD21,SHY-6、bc1-XL抗体を用いてレーザー共焦点顕微鏡にて免疫組織化学に観察し、Meloid Dendritic cellのリンパ濾胞形成における関与を示した。Th1型サイトカイン(γ-IFN)の存在に加えTh2型サイトカイン(IL-4,IL-5,IL-10)、IL-7,lymphotoxin-α,lymphotoxin-βの相乗効果がリンパ濾胞を形成するのに重要であることを見出した。その際に、Th2型ケモカイン(RANTES, MIP3α、BLC(B lymphocyte chemoattractant chemokine),TARC)の遺伝子発現増強が重要であることをreal time RT-PCR法にて見出した。
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