研究課題/領域番号 |
14570468
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
消化器内科学
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
竹原 徹郎 大阪大学, 医学系研究科, 助教授 (70335355)
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研究分担者 |
外山 隆 大阪大学, 医学部附属病院, 医員(臨床研究)
平松 直樹 大阪大学, 医学系研究科, 寄附講座教員 (30362700)
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研究期間 (年度) |
2002 – 2003
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キーワード | NK細胞 / NKT細胞 / IFNα / IL-12 / 肝臓 / 腫瘍免疫 / 先天免疫 / 獲得免疫 / tumor |
研究概要 |
肝臓はNKT細胞やNK細胞をはじめとする先天免疫応答に関与する細胞が豊富に存在する臓器である。本研究課題では、肝臓におけるNKT細胞やNK細胞の活性化が、初期の抗腫瘍免疫応答をどのように形成し、また、その後の獲得免疫応答の程度と方向性の決定に関与していくのかを動物モデルを用いて明らかにすることを目的とした。腫瘍細胞を脾臓に注入後1日目にNKT細胞のVα14に対する活性化リガンドα-GalCerを投与すると、肝臓における腫瘍形成が完全に抑制された。α-GalCerの投与2〜3時間後には肝臓内のNKT細胞が著明に活性化され、その後にNK細胞の持続的な活性化が誘導され、これが抗腫瘍効果の直接的なエフェクター細胞であることが示された。α-GalCer投与により肝臓における肝癌の形成を抑止されたマウスでは、その後に同じ肝癌細胞を皮下接種しても腫瘍の形成が完全に防御された。このような防御は異なる腫瘍細胞に対しては認められなかった。一方、IL-12およびIFNα遺伝子注入は肝臓および脾臓の単核球のNK活性を約2週間にわたって著明に上昇させた。腫瘍細胞を脾臓注入し、2日後に遺伝子を静注したところ、IL-12、IFNα遺伝子ともに肝臓での腫瘍の形成を完全に抑制した。また、この効果はアシアロGM1抗体の投与により消失したことから、NK細胞の活性化に依存した現象であった。このような遺伝子導入により腫瘍が拒絶されたマウスでは、3週間後に腫瘍細胞に対する特異的なCTL反応が誘導され、腫瘍細胞の再接種に対して、IL-12投与群では完全に、IFNα投与群では部分的に耐性であった。NKT細胞やNK細胞の活性化により引き起こされる先天免疫応答は、肝臓における微小腫瘍に対する初期の免疫防御機構を形成するとともに、その後の獲得免疫応答の方向性の決定にも重要な役割を持っていることが明らかにされた。
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