研究課題/領域番号 |
14570471
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
消化器内科学
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研究機関 | 島根大学(医学部) |
研究代表者 |
門脇 泰憲 島根大学, 医学部, 助手 (50322475)
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研究分担者 |
木下 芳一 島根大学, 医学部, 教授 (30243306)
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研究期間 (年度) |
2002 – 2003
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キーワード | Reg / gastric cancer / tyrosine kinase / ERK1 / 2 / transgenic mice / carcinogenesis |
研究概要 |
Regは膵臓再生にかかわる増殖因子として発見され、我々はRegが胃粘膜障害の再生時にも病変部周辺に強く発現することなど、胃粘膜増殖因子である可能性を示唆するデータを報告してきた。本研究ではこれをさらに進め、胃粘膜細胞内でのシグナル伝達や癌化との関連、in vivoにおける増殖促進作用を解析した。申請時に一部記したとうり、我々は培養胃癌細胞を用いてRegによる細胞内シグナル伝達を解析した。結果、Reg刺激により早期に150Kdの蛋白質がチロシンリン酸化され、遅れて古典的MAPキナーゼのリン酸化が観察された。これに伴いH^3チミジンの取り込みが増大した。これらの結果は分化癌由来細胞を使った実験では得られず、未分化癌由来細胞に特異的であった。さらに、ヒト胃癌細胞組織、特に未分化癌において、Regは正常組織にくらべ高発現しており、発癌との関連が示唆された(FEBS Lett.2002)。この論文はSandvikらに高く評価され、コメントが同雑誌に掲載された(FEBS Lett.2003 553(3)P464-5)。また、Regの細胞内シグナル伝達研究をおし進めるため、受容体のクローニングをめざしている。Reg蛋白質をカラムに結合させ、胃癌細胞ライセートとインキュベートしたところ、in vitroのキナーゼアッセイにて上記分子量にだいたい一致する、自己リン酸化蛋白質が検出された。これをReg受容体と考え、さらに精製を進めている。 また、Regのin vivoにおける増殖促進作用を評価するためにサイトメガロプロモーターを持つ発現ベクターを用いてトランスジェニックマウスを作製した。このマウスの胃粘膜は、正常マウスに比べ2倍以上の厚さを示し、Regの胃粘膜幹細胞に対する増殖促進作用が示唆された。さらに、免疫染色により、増殖促進された細胞は壁細胞、主細胞のみであることが示され、新たにRegの胃粘膜細胞分化作用が示された。この成果はoncogeneに投稿し、現在in pressの状態である。また、Regはマウスでは、胃では発現が弱く、小腸で発現が強いためトランスジェニックマウスでは胃で、ノックアウトマウスでは小腸での機能が強く形質として出ると予想される。Regノックアウトマウスの消化管の組織形態を検討したところ予想どうり、小腸において明らかに形態の差が見られた。ホモノックアウトマウスの小腸絨毛において、ワイルドタイプに比べ細胞密度が減少していた。この結果により、Regは胃のみならず、小腸などの消化管腺組織全般において、増殖因子として働いている可能性が示唆された。
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