研究概要 |
ヒト末梢血中には極めて大量の内因性1型インターフェロン(IFN)を産生するplasmacytoid樹状細胞(DC)と抗原提示能の高いmyeloid DCが存在する.C型肝炎ウイルス(HCV)の持続感染にそれらのDC機能低下が関与していることを明らかにすることを目的に,Plasmacytoid DCの1型IFN産生能とmyeloid樹状細胞のnaive CD4^+T細胞活性化能を解析した. 63人のC型慢性肝炎(CH-C)患者末梢血から単核球を分離し,4カラーフローサイトメトリー法でplasmacytoid DCとmyeloid DCを同定した.末梢血単核球に占めるそれぞれの割合と末梢血中の絶対数を健常者34名と比較した.Plasmacytoid DCによる1型IFN産生能は,1型単純ヘルペスウイルス(HSV-1)刺激による細胞内IFN-α産生細胞数で評価した.Myeloid DCによるnaive CD4^+T細胞活性化能は,DCによるIFN-γ産生活性化T細胞誘導能で評価した. Plasmacytoid DCの末梢血単核球に占める割合と絶対数はCH-C患者と健常者で差はなかった.CH-C患者のplasmacytoid DCによるIFN-α産生能は健常者に比べて有意に低下していた.CH-C患者末梢血におけるmyeloid DC数は健常者に比べて有意に減少していた.さらに,CH-C患者におけるmyeloid DCのnaive CD4^+T細胞活性化能も,健常者に比べて有意に低下していた. CH-C患者の末梢血plasmacytoid DCによるIFN-α産生能とmyeloid DCによるnaive CD4^+T細胞活性化能がHCVの持続感染に関与している可能性が示唆された.
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