研究課題
基盤研究(C)
原発性胆汁性肝硬変(PBC)の診断は、肝組織所見と抗ミトコンドリア抗体(AMA)によって行われる。肝生検は全く安全な検査というわけではなく、また頻回に施行できるわけではないもし感度や疾患特異性が非常に高く、かつ測定が簡便迅速でより客観性のあるAMA測定法があれば、侵襲的な肝生検にとってかわる"gold standard"になりうるが、現在行われている種々の測定法にはそれぞれ利点と欠点があり感度や疾患特異性も多少異なっている。われわれはMESACUP-2テスト ミトコンドリアM2キットを用いたELISA法「抗ミトコンドリアM2抗体」と従来の測定法との比較を含めて、その特徴と臨床的意義について検討し、感度・特異度ともに従来の測定法に匹敵し、さらに、より細かい力価の変動が検討できるため、PBCの疾患活動性や治療のモニターにより適していると結論した。次に、我が国における一般人口でのAMA陽性率および、それより類推されるPBCの有病率について考察し、その結果、我が国には約33万人のAMA陽性者、約3-4万人のPBCが存在し、そのうち約2万人がPBCと診断されて現在医療機関に通院していると推測した。次に、AMA陰性のPBCの自然経過について検討し、PBCの診断にはWestern blot法によるAMAの判定が重要であると結論した。AMA陰性PBCといわゆる自己免疫性胆管炎との異同については、さらにselection biasを極力排除した検討が必要と考えられた。また、経済性・簡便性に優れたenzyme inhibition assay法によるAMAの測定は、特に発展途上国などでのスクリーニングに適していると考えられた。このように、各種測定法の特徴およびその有効な活用法が明らかになった。
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すべて 雑誌論文 (14件)
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