研究概要 |
平成14年度の検討では、genotype 1b型のhepatitis C virus (HCV) full length cDNA(CV-J4L6S,米国NIH, Dr. Bukhより供与)より、core蛋白のcoding regionをPCR法にて増幅し、発現plasmid pCDNA-V5に組み込んだ(pCD-HCV core)。PCD-HCV coreをヒト肝癌細胞(Huh7)にリポフェクトアミンを用いてトランスフェクションした。Core蛋白の発現は、ウエスタンブロットで確認した。HCV core蛋白を発現したHuh7では親株に比べて、DNA中の8-hydroxy-2'-deoxyguanosineの蓄積量が有意に増加するとともに、^3H-thymidineの取り込みが有意に亢進した。また、同細胞では転写因子NF-κBの活性化が観察された。Core蛋白の導入によって、発現が変化した遺伝子をcDNA microarray法で探索したところ、'プロモーター領域にκB配列し増殖に関連する標的遺伝子候補としてTGF-αが見出された。そこで次に、TGF-α遺伝子のプロモーター領域1.1kbをpTGF-α/Luc vectorに組み込みレポーターアッセイを行ったところ、core遺伝子発現細胞において、TGF-α転写が誘導されることが確認された。平成15年度では、core蛋白の導入によって生じる細胞増殖促進機序およびラジカル誘導性の酸化的DNA傷害の機構について、さらに検討を進める予定である。
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