研究概要 |
本研究では、genotype 1b型のhepatitis C virus(HCV)由来のfull length cDNA(CV-J4L6S,米国NIH, Dr.Bukhより供与されたクローン)より、core蛋白のcoding regionをPCR法にてサブクローニングし、発現plasmid pCDNA-V5に組み込んだ(pCD-HCVcore)。PCD-HCVcore遺伝子をヒト肝癌細胞(Huh7)にリポフェクトアミンを用いてトランスフェクションした。G418 selection後,Core蛋白の発現をRT-PCR法ならびにウエスタンブロット法で確認した。HCV core蛋白を発現したHuh7細胞では、IkBのリン酸化・分解を伴った転写因子NF-κBの活性化が観察された。Core蛋白の導入によって、発現が変化した遺伝子群をcDNA microarray法で探索したところ、プロモーター領域にκB配列し増殖に関連する標的遺伝子候補としてTGF-αが見出された。そこで,TGF-αプロモーター領域をLuc遺伝子に連結しトランスフェクションしたところ,Core蛋白の発現量に依存してTGF-α転写が増加することを確認した。またHCV core蛋白を発現したHuh7では、親株に比べて、^3H-thymidineの取り込みが有意に亢進し,その効果は抗TGF-α抗体処理でキャンセルされた。さらに同ドランスフェクタントでは,DNA中の8-hydroxy-2'-deoxyguanosine(8-OHdG)の蓄積量が有意に増加していた。
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