研究概要 |
申請者らは,密閉チャンバーにラットを入れることによる低O_2,高CO_2,ストレス,容器内に最初から存在するCO_2ガスの検体への影響は無視できないと考え,ラット呼気収集方法での以下のごとく,工夫・改善を施し,Ubit-IR300を用いてラットの呼気の_<13>CO_2/_<12>CO_2比を測定することに成功したと確信している. 1)混合ガス(N_280%,O_220%)を実験中,密閉容器内へ流入させることで容器内に最初から存在するCO_2を最小限に抑え,検体への混入を防止する. 2)容器内O_2およびCO_2濃度をモニターし,それぞれ,20%以上,1%以下に保つ. 3)容器蓋にcheck valve付の排気口を設置し,余剰N_2,O_2ガスを排出させる. 4)比較的重いCO_2ガスは容器底に設置した収集口より集める. 当初20,30週齢WBN/Kobラットでは,10週齢WBN/Kobラットおよび同週齢Wistarラットに比較して_<13>CO_2/_<12>CO_2比が低下していたが,データを重ねるに従って低下していないラットも存在することが判明した.今後,Secretin負荷をBreath testに加えることで,感度・特異度を上昇させる予定である. 申請者らは,Renin angiotensin system (RAS) が膵炎に果たす役割は重要であると考えて研究を継続させた結果,lisinopril (ACE-I)あるいはcandesartan (ARB)の投与により,WBN/Kobラットにおける膵の慢性炎症・線維化が用量依存性に抑制されることを示し,それらの機序として,TGF-β抑制を介した膵星細胞の活性化抑制が関連することを世界にさきがけて報告した(Gastroenterology 2003. April, Congress of American Gastroenterological Association 2003). さらに,申請者らは,降圧剤として広く安全性の認められている両薬剤を慢性膵炎患者さんへ投与することも予定している.
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